客を料理にして食べる店【注文の多い料理店 あらすじと感想】

読書

みなさんこんにちは、卯月です。

今回は宮沢賢治さんの「注文の多い料理店」をご紹介したいと思います。

こちらのお話は国語の教科書にも載っているので知っている方も多いのではないでしょうか?

ユーモア溢れる独特な世界観を是非楽しんでください。

感想

風吹けば、奇妙な料理店

この作品は二人の若い紳士が一軒の西洋料理店へと入り、恐ろしくも不思議な体験をする物語です。

この作品では風が吹く表現が西洋料理店を発見したときと、消えるときに二回使われています。このことから風が西洋料理店を作り出すときと消すときの前触れだと思いました。

恐ろしくもユーモラスな世界観

二人の若い紳士は犬が亡くなった時に悲しむこともせず金銭的な損害ばかり気にしていましたが、物語の後半で見捨てた犬に助けられる所や、紙屑のようになってしまった顔に二人のような拝金主義者への皮肉を感じました。

また、二人の顔が元に戻らなかった理由は心の痛みは一生残り続けるという教訓であると共に恐怖の後遺症でもあると思います。

この作品では店側が客側に対して注文をして食事をしようとしていましてが、普通の場合は逆です。

この逆転している構図にユーモアを感じました。

また、作中では「タンタァーン」や「ごとんごとん」などのオノマトペがよく使われていますが独特なオノマトペはこの作品の魅力の一つだと思います。

おススメしたい人

  • 短編小説が読みたい方
    • 有名な短編小説なので手軽に読めておススメ
  • 童話が読みたい方
    • 子供から大人まで幅広い世代で楽しめる
  • 日本文学を初めて読む方
    • 難しい言葉が使われていないので読みやすいお話
  • ファンタジーが好きな方
    • 宮沢賢治の独特な世界観のファンタジーは必見
注文の多い料理店 (角川文庫) [ 宮沢 賢治 ]
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あらすじ

山奥で途方に暮れた紳士たち

二人の若い紳士が猟をしに犬を連れて山奥を歩いていた。山はとても不気味で案内役の男ともはぐれ、二匹の犬は泡を吐いて死んでしまった。犬の損害額に落胆して帰ろうとした二人は道に迷い、おまけに空腹で途方に暮れていた。

紳士たちは料理店の奥へ進む……

その時、ふと後ろを見ると立派な一軒の西洋料理店を見つけた。二人は玄関の前に立つと扉に何か書かれているのを発見した。決してご遠慮はありませんと金色の文字で書かれたその言葉に二人はただでご馳走してくれると喜び、扉を押して店内へと入った。

すると、また扉があり、その扉には当軒は注文の多い料理店だと黄色い文字で書かれていた。二人はこの言葉を注文があまりに多くて支度が手間取るという意味だと解釈してさらに奥へと進む。

すると、またしても扉があり今度は髪を整え、服の汚れを落とすよう赤い文字で書かれていた。二人は偉い人達がよく来る店なのだと思い、身なりを整えると再び廊下を進むが、扉はまだまだ続き、いずれの扉にも二人への「注文」が書かれていた。

そして、ある扉の前まで来ると壺の中のクリームを顔や手足に塗るよう書いてあった。二人はその指示に従いまた廊下を進むと、次の扉には耳にもよく塗りましたかと書いてあった。

二人はよく気が利く主人だと思い再び足を進めると、すぐ目の前に次の扉があった。

注文の多い……?

扉には瓶の中の香水をよく振りかけるよう書いてあったので二人は香水を振りかけるが、その香水からは酢のような匂いがした。きっと下女が風邪でも引いて間違えて入れたのだろうと特に怪しむこともなく次の扉を開けて中へと入る。

扉の裏側には大きな文字で壺の中の塩を体中にたくさんよくもみ込むよう書いてあり、どうもおかしいと思った二人はそこでこの店は「客に料理を食べさせる店」ではなく、「客を料理にして食べる店」なのだと気付き、震え出した。

恐怖の味付けをされた紳士たち

逃げようとするが扉は開かず、奥の方にある扉の鍵穴からこちらをのぞく目玉があり、二人を呼んでいる。顔がくしゃくしゃになるほど泣き、遂に食べられると思ったその時、後ろの扉から死んだはずの二匹の犬が飛び込んできて、奥の扉へ突進すると西洋料理店は煙のように消えた。

その後、東京へと帰ることは出来たが、泣いて紙屑のようになってしまった二人の顔は元に戻らなかった。

最後に

いかがでしたか?

有名なお話なのでみなさんも「注文の多い料理店」というタイトルの意味はご存じの方が多いかと思います。

注文が多いというのは、お客様目線ではなく料理店目線。初めて「注文の多い料理店」というタイトルを聞いた時に、この結末を予想できた方はいるのでしょうか。

みなさんも、曖昧な言葉にはご注意くださいね。紳士たちのように、誤解をしたまま恐ろしい目にあってしまうかもしれませんよ。

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