「道化」という仮面をかぶり「人間」を演じる【人間失格 感想とあらすじ】

読書

果たして彼は、本当に“人間失格”だったのでしょうか?

みなさんはじめまして、卯月です。

これからみなさんに私のおすすめの本の紹介をしていきたいと思います。

今回の作品は、きっとみなさん名前を聞いたことがあるでしょう。

太宰治さんの「人間失格」をご紹介します。

人間失格の感想

道化の仮面を被る主人公

道化」という仮面をかぶり、「人間」を演じてきた主人公は、道化が見破られるたびに打ちのめされ、最後は完全に打ち砕かれて、ついに「人間」を演じる事が出来なくなりました。

はしがきに書かれている三枚目の写真に写っていた、どんな表情も無い、自然に死んでいるような姿が主人公の本来の姿なのでしょう。

人間失格という物語は、「道化」という仮面をかぶり、「人間」を演じてきた主人公が、「人間」を演じる事が出来なくなり、「人間」では無くなるまでの過程を書いた物語であり、それがこの物語の題名の「人間失格」なんだと思います。

そんな道化も作中で三人の人物に見破られています。

道化を見破る三人の人間

まず、一人目です。

中学時代の同級生、竹一です。警戒する必要はないと思っていた竹一に道化を見破られたことで、主人公は恐怖と不安に見舞われました。

二人目は四十代の検事です。

取り調べを受けている最中に咳が出た主人公は、ハンカチにあらかじめついていた血を見て自分にいいように物事が動くかもしれない、と思い二回、おまけの偽の咳を大げさにしました。しかし、それを検事に見破られてしまいます。この時、中学時代に内心では見下していた竹一から道化を見破られた時以上の衝撃と恐怖に見舞われました。

三人目は友人の堀木です。

正確に言えば堀木は主人公の道化を見破ったわけではなく、「道化」という仮面を打ち砕いた、と言った方が正しいです。喀血をした主人公に堀木は「今まで見たこともないくらいに優しく微笑みました。その微笑みを見た主人公は、涙を流しました。この場面は、「道化」という仮面が完全に打ち砕かれた場面でもあると思います。

斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇 (文春文庫) [ 太宰 治 ]
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この本をおすすめしたい人

  • 純文学に興味がある人
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「人間失格」ってどんな話? あらすじを紹介!

人間失格は「はしがき」「第一の手記」「第二の手記」「第三の手記」「あとがき」という構成になっており、第三の手記だけ一と二に分けられています。

はしがき

はしがきは、「私」の視点で書かれており、「私」は「ある男」の三枚の写真を見ていた。三枚の写真には、どれも不思議な顔をした男が写っていた。この男が物語の主人公の大庭葉蔵であった。

第一の手記から第三の手記までは、葉蔵の手記の形を取って語られている。

第一の手記

まず、第一の手記は、大庭葉蔵の幼年時代から始まっている。

東北のお金持ちの家に生まれた葉蔵には人間の生活というものが見当つかず、道化を演じていた子供時代が記されている。

第二の手記

第二の手記では、主人公の中学時代から高校時代までが語られている。

いつも通り道化を演じて同級生を笑わせていた葉蔵は、ある日、竹一という同級生に道化を見破られる。その後、葉蔵の親友となった竹一は、葉蔵に対して二つの予言をした。この予言は、一つは当たり、一つは外れることになる。

高等学校に進学した葉蔵は、画塾に通い始めて、そこで堀木正雄と出会う。堀木と出会い、遊びを覚えた葉蔵は、お金に困るようになっていた。そんな時、ツネ子という女性と出会い、生まれて初めて恋に落ちた。

第三の手記

第三の手記の一は、葉蔵が高等学校を辞めた所から始まる。

ある事件のせいで高等学校を追放させられた葉蔵は、ヒラメと呼ばれている男の家にいた。ある日、堀木の家に来ていた葉蔵は、そこで一人の女性と出会い、葉蔵の身の上も急転する。

それからは女性の下を転々としながら男めかけのような生活をしていた葉蔵は、そんな生活の中でヨシ子という女性と出会う。

第三の手記の二は、ヨシ子と結婚した所から始まる。ヨシ子と結婚してから幸せな日々を送っていた葉蔵だが、その生活も不幸な事件と共に終わりを迎えた。

あとがき

あとがきは、また「私」の視点に戻る。

はしがきで触れた手記と写真は小説の材料になるかもしれない、とスタンドバーのマダムから押し付けられたものだった。

その手記に書かれていることに興味を持った私はバーのマダムにしばらく手記を借りることを伝えた。

この本の最後は葉蔵を信じるマダムの言葉で締めくくられている。

まとめ

いかがでしたか?

誰もが知る太宰治の名作「人間失格」についてご紹介させて頂きました。

「人間失格」という衝撃的なタイトルの作品から感じられる人間らしさへの共感が、自分自身を見つめ直すきっかけになるかもしれません。

次回も私のおすすめの本を紹介していきます。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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