トロッコと子供の頃の思い出【トロッコ 感想とあらすじ】

読書

みなさんこんにちは、卯月です。

今回は芥川龍之介さんの「トロッコ」をご紹介したいと思います。

こちらのお話は国語の教科書にも載っているので読んだことがあるという方も多いのではないでしょうか?

それではさっそくご紹介したいと思います。

感想

トロッコが進む先に

この作品は、主人公の良平がトロッコに乗って遠くへ行き、日暮れになり家に帰ってくるまでを描いた作品です。

大人になった主人公は雑誌社で校正の仕事をしていますが、校正という仕事はこの作品が書かれた当時は薄給の仕事でした。

その上、養わなければならない家族がいるという不安定な生活を送っている主人公はきっと、明日や来年の生活はどうなるのだろうという「先の見えない不安」を抱いているはずです。

そして、この「先の見えない不安」を主人公は薄暗い藪や坂のある路を無我夢中で走ったあの日も抱いていたと思います。

誰しもが抱える“不安”や“疲れ”

「子供の頃に抱いた不安」と「今、抱いている不安」を重ね合わせた結果、世の中の煩わしさに疲れた主人公はあの日のことを思い出したのではないかと考えました。

主人公の抱いた「先の見えない不安」や「疲れ」は程度の差こそあれ誰もが抱いたことがあると思います。

未来や将来に対する「先の見えない不安」や世の中の煩わしさに対する「疲れ」は現代を生きる私達にも通じる部分があると思います。

おススメしたい人

  • 子供の頃のを思い出したい人
    • この作品を読むとなんだか懐かしい気持ちになれる
  • 主人公に共感したい人
    • 主人公の抱く不安や疲れは誰でも共感できる部分があるから
  • 今、不安や疲れを感じている人
    • 主人公も同じような思いを抱いているため、自分だけではないのだと安心できる
  • 短編小説が好きな人
    • 短い作品でありながら読みごたえがあるため
トロッコ・一塊の土 (角川文庫) [ 芥川 龍之介 ]
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あらすじ

幼き日のトロッコへの憧れ

主人公の良平が八歳の頃、小田原と熱海の間に鉄道敷設の工事が始まった。

良平はトロッコが工事場を行き来する様子が面白くて仕方がなく、毎日眺めているうちに土工になりたいという夢を抱くようになった。せめて一度でも土工と一緒にトロッコに乗りたいと思い、ある日の夕方、弟と近所の子供と共にトロッコの置いてある村はずれへ行った。

良平たちは土工の姿が見えないのをいいことに、恐る恐るトロッコを押して線路を登って行き、いくら押しても動かなくなったところでトロッコに飛び乗った。

するとトロッコは、徐々に勢いをつけながら線路を下り、良平は顔に吹き付ける風を感じながら有頂天になった。

そして、良平たちがまたトロッコを押し上げようとしたとき、後ろから怒鳴り声が聞こえた。

そこには、麦藁帽を被った背の高い土工が佇んでおり、良平たちは慌てて逃げ帰った。

憧れと、先の見えない不安

その後、十日余り経ってから良平は一人で工事場へとやって来た。

すると、二人の若い土工がトロッコを押しながらやって来たので、彼らに親しみやすさを感じた良平は二人のそばへ駆け寄り、トロッコを押そうか、と声をかけた。

二人が快い返事をしたので、良平は力いっぱいトロッコを押し始めた。

その後、トロッコに乗ったり、押したりを繰り返し、ずいぶん遠くまで来たところで良平はだんだん帰りが不安になり、日が暮れる頃になってようやく二人の土工はもう帰っていいぞ、と無造作に言った。

良平は長い道のりを一人で歩いて帰らなければならないということに呆気に取られ泣きそうになるが、無我夢中で走り続けようやく家にたどり着くと、ついに大声で泣き出してしまった。

道はまだ続いている

あれから時が経ち、二十六歳のときに妻子と共に東京に出て来た良平は、雑誌社に校正として勤めていたがふと、あの日のことを思い出すことがあった。

世の中の煩わしさに疲れた良平の前にはその時のように薄暗い藪や坂のある路が細々と一筋断続している。

最後に

いかがでしたか?

誰しも一度は良平のような「不安」や「疲れ」を感じたことがあるでしょう。

疲れた良平があの日のことを思い出すのは子供の頃に戻りたいからかもしれませんね。

みなさんには子供の頃の忘れられない思い出はありますか?

ここまで読んでくださりありがとうございました。 次回もお会いできることを楽しみにしています。

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